子育て総力戦研究所

父親から見た23区近郊車なし子育て

中野区で保活をする話(その2)

 こちらの記事の続きで、これまでにどのような保活を行ったのかについて記載しています。(2024年4月入園手続きはまだ完了していないため、途中までとなります)

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新居への引っ越しの際に考えたこと

 出産に先立って、それまで住んでいたマンションが手狭になると見込まれたこと、出産前後の引っ越しは大変だろうということで、市場に物件が出回りやすい1~2月に新居を探しました。その際、中野区外に転出する可能性もあったため、中野区内における保育園の立地・競争倍率についても念のため調べた上で新居を決定しています。

 具体的には、中野区が公表している保育園の定員及び利用調整の結果の下限点数とそれぞれの住所を組み合わせて、ジオコーディングして次のような地図上に落とし状況を把握しました。

 下図は、2024年入園のデータを用いて作り直しています。

中野区内保育園の0歳児クラス定員数

 特徴的なのは、中野坂上周辺の0歳児クラスの募集がとても弱いこと、区南部に比べて区北部の密度が疎ら、中野通り南側が手薄であること等がわかります。

中野区内保育園の1歳児クラス募集数(推定)

 他方、1歳児クラスの定員と0歳児クラスの定員の差分から推定される1歳児クラスの募集まで含めると、中央線の両サイドにベルト地帯が形成されており、区の中心から外れるほど保育園密度が疎らになっていくことがわかります。

 こうしたデータを踏まえて、中野区内でも中央線ベルト地帯であればなんとかなるだろうと踏んで中野区内で転居しました。

出産後に中野区役所に話を聞きに行く

 出産後しばらくは出生届の提出以外で区役所に行けるような状況でなかったことから、落ち着いてきた8月中旬に区役所の保育担当部署に話を聞きに行きました。

 利用調整については「中野区保活のしおり」的なもの読んで概ね理解していたため、保育料の算定基準及び、利用調整の点数がどの時点の勤務状況を参照するのか、また最近の中野区内の保活動向についてヒアリングしました。

 保育料の算定基準は「しおり」をよく読めば書いてありましたが、毎年9月に、その年度の区民税所得割額ふるさと納税による控除分はなかったものとして加算する)の世帯合算額を基準としていることがわかりました。来年4月からの保育料は昨年度の勤務実績をベースに算定された今年度の区民税額を基に決定されるため、しばらくはフルタイム共働き時代の年収に基づき高額となる模様で、来年の9月以降は育休等により課税額が大幅減少した本年度の年収に基づき算定されるようです。

 また、利用調整については、産休育休に突入する前の勤務実態を反映させるということで、基本的にフルタイム共働き世帯であれば基本指数20+20、調整指数1+1の42点になるということでした。

 なお、中野区の保育園入園の利用調整については、保育の必要性に応じて点数を積み上げていき、点数が高い人から入園内定していくというシステムになっています。このことから、4月募集の時点で下限の点数(合格点)が42点を割っているかどうかというのが一つのボーダーラインになると考えられます。

 ここで、中野区が公表しているデータから2022年から2023年にかけての下限点数の推移を見ると、下図のように、それまで41点以上が求められていた多くの園において、下限が40点以下あるいは定員が満員にならない「底割れ」が発生している様子がうかがえます。

2022年4月の0歳児クラス1次募集での下限点数

2023年4月の0歳児クラス1次募集の下限点数

 この原因について区の担当者に話を聞くと、そもそも出生数が低下(中野区内の0歳~2歳児は2021年から2023年にかけて6,900人から6,300人まで減少)していること、コロナ禍を経て保育園の申込率が減っているのではないかということでした。

 こういった状況から、(その1)でも書いたとおり、0歳児クラス4月募集は、希望園を決め打ちでもしない限りどこかには入園できる状況となっており、むしろ1歳児クラスの募集倍率が高止まりしているとのことでした。

保育園見学

 最近Twitter(現X)では保育園見学がトレンドに入りがちです。自治体にもよりますが、翌年度4月入園の申し込みは10月~11月にかけて締め切る(中野区は11月1日)ため、その前に見学しようとすると8~9月が保育園見学の最盛期になります。
 区役所に話を聞きに行った翌日に保育園9園にアポをとったところ、ほとんどの園は1~2週間後に見学をさせてもらえたのですが、1園だけ2か月後しか空いていなかったので、早く動くのは大事だなと思いました。

 中野区の保育園を大きく3つに分類すれば、区立園、元区立園、それ以外の園に分かれると思います。中野区は区政の方針として区立園の民営化を進めており、これまでに23園の区立園が民営化され、区立園は残り10か所となっています。この他に純粋な民営園が62か所あります。

 区立園はその名の通り区の職員がやっているor区が業務委託している園で、良くも悪くも価値中立的な保育が行われています。区立園最大の特徴は敷地に余裕があるため建物が大きい・地上園庭が必ずあることです。区役所の担当者によれば、民営化した際に浮いた保育士をオフィス部門に転属させているため、病気などで欠員が出たときに穴を埋めやすいのが推しポイントとのことです。

 元区立園は、区立園を民営化した園で、区立園と同様に余裕のある敷地を引き継ぐため、地上園庭が必ずあります。また、民営化した際に建物を建て直していることが多く、区立園に比べて設備が新しいことが多かったです。

 純粋な民営園は、そうした敷地を持たないためビルの1フロアを間借りしたり、3階建てにする等、認可園としての面積要件や代替園庭は確保しているものの、窮屈に感じる部分があります。

 元区立園含む民営園全般にいえることですが、保育の方針は会社や園長に大きく左右されるため、家庭により合う合わないが激しそうです。おむつのサブスクについても見学した区立園はどこも対応していましたが、民営園では対応していないところもありました。

 保育園見学にあたり、とても細かいチェックリストを作成して持参している例がみられますが、個人的にはそのようなカタログスペックを調査するのに熱を入れるよりも、保育士の年齢層や接し方、園児の様子、園の雰囲気、園に飾られている作品の傾向等、感覚的な部分を見た方がいいのではないかと思いました。もちろんこだわりがあるところは直接聞いたほうがいいですが、実情として詳細なカタログスペックから絞り込なきゃいけないほど選択肢は多くないです。

保育園希望順位の決定

 我が家では大多数の検討先に親2人+子を連れて見学に行ったことから、「立地」・「内装」・「園庭やテラス」・「刺激の多さ」の4項目で5段階評価し、後者3つについては2人でクロスレビューをして合計点数が高い順としました。集計の結果、元区立園と区立園がほぼ同レベルの点数で、その他民営園は一段落ちるという結果になりました。

 元区立園のいいところは建物がほぼ新築なので綺麗なところでしたが、そうした園は全般的に安全重視・秩序重視な部分があるため、築年数のある区立園の雑多な感じもまた子どもには刺激的だろうなと思うところがあり、ほぼ同等の順位となりました。

 園庭については、代替園庭でもいいのではないかと思いますが、やはり公園に連れていくにも一定の人的リソースを要するため、園庭付きの園の方が人手が回りやすく、保育士の余裕が生まれ、目が行き届きやすいのではないかと思いました

 最後に立地について、毎日通勤の行き帰りに寄ること、暑い日寒い日天気の悪い日があることも考えると、家から徒歩10分以内が目安なのかなと感じました。もちろん家と最寄り駅の間に立地すれば最高なのですが、特に区立園・元区立園は駅前にはなく、住宅地の真ん中にありがちなので、なかなかそう上手くはいかないんですよね。あとは立地と施設・運用でどちらを優先するか、両親の仕事がどれだけ忙しいかにもよると思います。

 なお、結果的に、利用調整の底点が42点に張り付いている園は希望上位となったため、利用調整の底点が高いというだけでも一定の質を担保している指標になるのかなとも思いました。

補足情報

 認可園には定期的に区が検査・指導に入っており(毎年ではない)、その結果はHPにまとめられています。たいていの場合は不適切会計等ですが、たまに保育士の配置に関するものなど重大なものもありますので、見ておいて損はないと思います。

www.city.tokyo-nakano.lg.jp

 また、「とうきょう福祉ナビゲーション」というサイトでは、保育園を含めた福祉施設のデータ諸元をとりまとめており、ここで保育士の勤続年数、常勤職員の平均賃金、収入に対する人件費割合などが閲覧できます。新しい園でなければ利用者アンケートも出ているので、希望する園に関しては、ぜひ調べてみてください。

www.fukunavi.or.jp

 

 

 なお、記事中で使用したデータのジオコーディング及び地図化については、埼大の谷謙二研究室が整備されたサービスを利用しました。

ktgis.net

 また、立ち入り検査については、育児・保活データ集@中野さんのブログを参考に記載しました。

clockworkmayuge.hatenadiary.com