子育て総力戦研究所

父親から見た23区近郊車なし子育て

ブログ紹介&記事リスト

 このブログは、2023年6月に第一子が産まれた新米父親が育児に関して検討したこと、感じたことをまとめる目的で作成されています。

 記事については、育児は両親の体力・精神・経済力のみならず、生活様式や思想、それまでの経験、勤務先の福利厚生、部外協力者等も試される先の長い「総力戦」となる観点からまとめています。

 なお、前提条件として、ブログ主は東京都中野区在住、共働きでしたが生後3か月までは共に育休、里帰りせず、中野区で車を持たずに育児をしています。

①出産までの準備


②育児の実際のオペレーション

 

 

③育児にあたって迫られる選択


 

 

④中野区の子育て環境について


 

 

 

 

 

 

ベビーベッド返却

またまた2か月ほど空いてしまいました。

 

年明けからの主な変化点としては、

ベビーベッドを返却することに伴う生活空間の再編

が挙げられます。

 

7か月を超えて、こどもが「はいはい」したそうな動きを見せはじめたこと、また、シングルベッドでの添い寝が厳しくなってきたことから、それまで別々の部屋に置いていたシングルベッド2つを連結させて、3人で寝るようになりました。

それに伴い、レンタル品だったベビーベッドを返却し、ベビーベッドとシングルベッドが置いてあった用地に170cm四方のベビーサークルを買い切りで導入しました(赤ちゃんファースト活用)。また、ベビーチェア(ストッケトリップトラップ+付属品)も購入し(本体はこれまた赤ちゃんファースト活用)、離乳食時や大人が食事している間、ぐずる時等に活用しています。

 

タイルマットが敷かれた床を存分に遊びまわる子どもを見ると、やはり子どもが「はいはい」や「つかまり立ち」を習得するには、ベビーサークル&床生活の導入は不可欠だと思われます。

他方、それまでベッドでやっていたおむつ替え等が床に移行することで、大人の腰に対する負担が増したように思われます。ただし、当然に床なのでベッドやシーツなどの布に比べて汚れたときの対応がしやすく、おむつ替えや食事などでのハラハラドキドキ感が減ったのは良かったです。

また、頻繁に掃除機をかける等、ホコリ対策をより入念に行わないといけなくなっています。

うちの家は狭いので、ベビーサークルとベビーベッドを両方同時に置いておくのがかなり厳しいですが、床面積に余裕のある家や添い寝をしない家ならば、これらを併用しても良いかもしれません。

 

 

6か月になりました。

 長いこと更新が止まってしまっていてすいません。11月以降、基本的な育児の構図が変わらず(正確にはゆるやかに変化している)、書くことがなくなってしまいましたので、4か月~6か月の間にあった出来事やミッションを振り返っていこうと思います。

離乳食が始まる

 日々のルーチンでは一番大きな変化で、5か月過ぎから開始して1か月で、十分粥→野菜(人参、大根、ほうれん草、かぼちゃ、)→豆腐→白身魚(鯛)と進んでいます。

 組み込みタイミングとして1日1食からスタートするのですが、新規食材は2日間様子を見る+医者が空いている時間帯に食べさせる原則があるため、必然的に朝食に組み込まれることになります。

 他方、離乳食自体はくたくたに茹でた食材をペースト状になるまで潰して、冷まさないと食べさせられないというとてつもなく準備に手間がかかるため、朝に弱いうちの家で毎朝作れるわけもなく、夜にまとめて作り、冷凍&解凍して食べさせています。

 離乳食を始めるにあたっては、食器3皿+スプーン2杯のセットと、プラスチック製のエプロンを買い、友人からハンドブレンダーを貰いました。このうち、ブレンダーについては、代用も効くと思いますし必要性を認識していなかったのですが、実際はマストだと思います。また、エプロンについては、離乳食を含んだ直後に吹く事案が多発するため、よだれかけの上につけて運用しています。

防寒

 秋口から冬にかけてどんどん寒くなっていくため、夏に比べて服を3倍程度に増強する必要がありました。また、寝るときのスリーパーや靴下、帽子を買いましたが、それでもベビーカーに乗ってる間は寒そうです。

風邪をひく?

 12月下旬ごろ、舌癒着症の施術をして以来みられなかった「から咳」や呼吸の浅さが目立ってきたため医療機関を受診しました。気管支を広げる薬等を処方してもらうとともに、鼻水が詰まりきっているとのことで電動鼻吸い器を買いました。それまで鼻水が出ている兆候はなかったのですが、冬になって頻繁に出始めたようで、毎日2回以上使うヘビロテ機材になりました。また、大人にも使えるので、子育てしていなくても花粉症で鼻がひどい人等は持っておいて損はないと感じました。

おでかけの手段は

 乳児の体重はもう8kg弱になっているはずですが、相変わらずベビーカー/抱っこ紐を併用しています。これまでの抱っこ紐の持ち方が甘かったらしく、より密着させるように使うことで気持ち楽になり、抱っこ紐の延命が図られています。

 

 

 

仕事と育児の両立(?)に関する雑感

 復帰以降更新が滞っておりすいません。

 まだ共働きになっておらず、仕事と育児の両立というほどのことをしていないので、両立界の入り口に立ってその世界を眺めた際の所見ぐらいしか書けません。

 現在は、原則フルタイム全日出社(テレワークなし)なため、8時半頃家を出て、20~22時頃帰宅する生活を送っています。当然、平日の育児や家事はほとんどできておらず、唯一、深夜同室で寝ることだけをしています(※夜間授乳は別室の妻対応)。勿論土日については、これまで同様に家事のほとんどと授乳以外の育児を行っています。

 この状況下で感じたこととしては
 ①互いの息抜きの時間の確保が難しいことによるストレス
 ②万障を繰り合わせることが難しいことによるストレス
 ③仕事モードと育児モードの精神的な切り替えが難しいことによるストレス
 が挙げられます。

 

①息抜き時間の確保が難しい

 1週間は168時間しかないところ、このうち通勤時間等含めて約60時間が仕事に、約56時間が睡眠に、約15時間が食事や入浴に充てられます。この時点で夫に残された可処分時間は約40時間となります。すなわち、妻が育児の即応態勢から解放され、別のことをできる時間が週40時間程度しかないことになります。

 とはいえ、この40時間を全て妻に割り当てた場合には、逆に夫の可処分時間が0となり、起きている間常に仕事をしているか育児の即応態勢をとっているかという状況になります。

 これは流石に非現実的なので、実際には通信容量のように家族でシェアすることになるのですが、それまでの二人育休育児態勢からすれば、可処分時間が週100時間→週40時間と大幅に低下することで双方にかなりのストレスが生じます。

 勿論、育児の即応態勢にいる間の親への負荷は新生児期から徐々に低下しているはずですが、この負荷の低下がゆっくりと進行するのに対し、職場復帰による可処分時間の低下が一気に発生するため、前後でかなりのギャップを感じられると思います。

 これに係る対策としては、育児即応態勢中でもなるべく気を張らないことや、育児即応態勢中でもできる趣味を見つける、あるいは趣味の形態を育児即応態勢に寄せるといったことで、疑似的に可処分時間をチャージすることが最善かと思います。

 

 ②万障を繰り合わせることが難しい

 よく言われる、育児と仕事の時間的なすり合わせで、今のところ仕事と育児以外でさらに日程が動かせない用事ができたり、片方の親が病気になった場合、それら3つ全てを成り立たせることに追加的な調整コストを生じる可能性が高まると感じています。そういう意味では上記の可処分時間の議論と同根だとは思いますが、この先、共働きとなった場合、保育園や子どもの病休に対して育児と仕事が正面から衝突することも想定され、そうした意味でも「万障を繰り合わせる」ことの難しさというのが根源的にあると思います。

 これに係る対策としては、なるべく部外協力者を確保するということに尽きると思います。具体的には育児部門では親族や委託業者を入れやすいようにしておくこと、業務部門では上司同僚部下に対し貢献ゲージを溜めておいたり、業務状況を頻繁に共有することで、不在としやすい環境づくりが大切かと思います。

 

 ③仕事モードと育児モードの精神的な切り替えが難しい

 これは完全に慣れの世界と思いますが、仕事で使う脳の部位と育児で使う脳の部位が全然違うように感じており、ある意味では気分転換になるのですが、1日に3~4時間残業して帰宅した後に仕事モードから育児モードに転換できないというところが正直あります。

 これについては、新たな環境に適応させるよう脳を訓練するしかないので日々の習慣付けで如何様にもなると考えています。

 

 育児に係る家庭内バランスについては主として以上の要因がリスクとして考えられるところ、これらを理解した上で、父母双方の自己実現や社会的ネットワークの維持・発展も含めたより持続的な育児の実現を目指していくべきだと思います。

授乳間隔の変化と生活への影響について

 世間で流行っている「ぴよログ」は使っていないのですが、ミルク投与量の管理として授乳記録だけは紙ベースでずっと付けており、100日分データが溜まったので、授乳間隔が与える影響について感覚ベースで見ていきます

 以下が蓄積データをグラフ化したものになります。第1縦軸は1日の授乳回数から機械的に算出した平均授乳間隔及び、夜間において最も授乳間隔が空いたときの時間をプロットしており、第2縦軸で粉ミルクの1日あたりの投与量をプロットしています。

授乳間隔の推移(3か月)

 まず、平均授乳間隔については、大きくぶれることはなく、生後2カ月頃から徐々に長くなっていることがわかります。ただ、間隔が2時間おきだとしても、2時間のうち15~20分は授乳に費やされるので、実際に授乳以外のことができるのは1時間半程度です。
 次に、夜間の最長間隔ですが、生後1か月半頃から一段長くなり、生後2か月半頃からさらに一段長くなっていますしばしば睡眠退行が起きて凹んでいますが、トレンドベースでは着実に伸びていっていると思われます。
 ミルク投与量については、途中から能力としての完母を目指すようになったため、夜間の授乳スキップをなくした頃から急激に投与量が減っています。以前は4~5日でなくなっていた粉ミルク400g入りの袋も3週間程度持つようになりました。

 これらの変化による生活への影響度合いについてですが、寄与が大きいのは、夜間授乳間隔が長くなることによる睡眠の確保です授乳間隔が6時間を超えてくると目に見えて効果があり、例えば23時~5時までといった時間で、親としてもまとまった睡眠を取れるようになり、その分昼間にできることが増えます

 次に日中の授乳間隔の伸びですが、無授乳で行動できる範囲が広くなります。我が家はまだ助産院や病院以外で授乳をしたことがないのですが、それでも3時間程度あれば新宿での買い物等ができるようになりました。こうしたことは実際おでかけ時に授乳せずに済むかどうかというよりは、ある程度の時間を授乳なしで耐えられることへの自信・不確実性の減少による、おでかけの気軽さに繋がってくる効果が大きいと思います。そういう意味では瞬間的な授乳間隔の長さというより、不規則な授乳間隔の短さがなくなるのが一番大事でしょうか。

 前回の記事で育休からの復帰時期を検討しましたが、夜間授乳間隔が6時間あけられるようになる頃になれば復帰しやすいかなと思います。もちろん人によってその時期は異なり育休を申請する時点では予見できないのですが、生後1か月時点では6時間はあけられないのではないかと思います。

 

育休が明け、職場に復帰する

 6月下旬から約3か月間(13週)の育休を取得していましたが、月曜から職場復帰しました。育休を取った効果は3か月間の中のみならず、将来的にじわじわ効いてくるものだと思いますが、ここでは、現時点での育休の総括をしていきます。

育休中にやったこと

 育児:ミルク作り(主担当)、おむつ替え沐浴・入浴(主担当)、あやし、外出時の抱っこ紐(主担当)、車での送迎(主担当)、粉ミルクやおむつの調達(主担当)、保活の研究・区役所ヒアリング(主担当)、保育園のアポ取り(主担当)、保育園見学、出生届の提出、予防接種の予約・立会(主担当)、やったことはだいたいこのブログに書いています。
 家事:自炊(主担当)、食料調達(主担当)、後片付け(主担当)、ゴミ出し(主担当)、生活用品の補充(主担当)、ルンバのための片付け、風呂掃除(主担当)、洗濯・物干し
 その他:このブログの編集、リスキリング?として最後の1か月ほど勉強して日商簿記2級を取得しました。

育休を取ってよかったと思える理由

 ①父母が育児に関して同じ土俵に立ち・同じ目線で暮らせるようになること育児の真の楽しさも辛さも、連続して子どもに張り付いていなければわからない(つまみ食いで理解できない)ものなので、これを体験することは親として不可欠な経験だと思います。

 ②自分の子がいわゆる世間的に平均とされている子と比べてどのような特長をもっているのかというのを直感的に掴めること。育児に関する情報の氾濫する現代において、○○すればいい、といった耳年増になりがちですが、実際に子どもと対峙して試行錯誤してみることにより初めて実効性のある育児方法が取れるということを認識するだけでもだいぶ違うと思います。

 ③社会から一時的に距離を置けること。普段の連休は年末年始やGWで長くて9-10連休なので、育休がなければここまでまとまった休業を取ることは考えられませんでした。自分がいなくても職場の組織や社会が回り続けることを実感できるとともに、逆に自分が働く意味や場所というのを再認識できる良い機会になりました。また、上にも書きましたが、資格の勉強などもできなくはないため、それまでに生きてきた人生を見直したり、方向転換するきっかけがもたらされる可能性もあります。

 ④社会の仕組みに触れられたり、社会の優しさに触れられること。育児をしてなければ、ここまで行政の行う事業を研究しなかったと思いますし、とにかく「新しいことを知る喜び」を得られ、世界が広がる一方です。

 ⑤こどもが可愛いと思えるようになる。これは、単純接触効果の最強バージョンのような気もしますが、24時間態勢で世話をして、徐々にこちらを向いたり笑ったりするようになった時には、それまでにかけられた労力の全てが報われたような気がして、可愛さが爆発します。

育休を取る期間の考え方について

 父親の育休取得期間は1か月以上が推奨されていますが、これに関しては子どもの成長も母親の回復も連続的なもののため、明確な区切りがあるわけでなく、自分の中で理屈付けをすることが難しいです。他方、仕事的には短ければ短いほど良いという圧がかかるため、これに抗するのが難しいために育休がなかなか普及しないのだと思っています。思いつく区切りについて以下で言及してみます、

 ①1か月
 →子の1か月健診が終わり、外出できるようになります。また沐浴から同時入浴に切り替わります。最低限1か月としているのはこれらの事情から、少なくとも1か月の間は2人で育児をした方が良いという発想なんだと思います。
 →ただし、子にもよりますが、生後1か月頃は「魔の3週間」を過ぎて子どもの泣き等が激しくなってくる期間に相当するため、この時期に復帰するとかなり心苦しい感じになると思います。

 ②2か月
 →出産後の母体の回復がある程度まで進むとされている時期です、生後2か月になってくると、母乳の出や授乳周期が安定してくるなど、親と子がお互いに生活に慣れてきました、そのため、比較的ワンオペに移行しやすいのではないでしょうか。

 ③3か月
 →生後3か月頃には、子どもの体内時計に昼夜ができ始める等、徐々に世界に適応してきて、夜間には連続で6時間程度爆睡する等の良い傾向がみられました。生後3か月まで乗り切れれば、離乳食が始まるまでのしばらくの間、育児は同じようなルーチンを繰り返すことになるため、生活はかなり安定してくると思います、

 ④4か月
 →うちの子はまだ到達していないので未知の世界ですが、首が据わってくるため、抱っこによるあやしやおでかけがかなり楽になる時期になると勝手に思っています。

 ⑤それ以上(半年や次の4月まで等)
 →第1子で育休を3か月以上取るのは、母親が先に復帰する等の事情がある場合がメインになるとは思います。

育休中の心構え

 ①「やってる感」ではなく「やる」
 →育児の一部をつまみ食いすることは容易ですが、育児の本質は「即応態勢を24時間取り続ける」というところにあるので、この即応態勢を維持するコストを分担して苦しみを共有するのが重要だと思います。逆にクリームスキミングして「やってる感」を出されるのが一番イラつきます

 ②育児以外がおろそかになるのを恐れない
 →育児が最優先となり、育児で疲れた体や心を休めるのがその次に優先になるので、家事全般について大きく優先度が下がります。もちろん上記即応態勢を確保した上で家事をやる元気があればどんどん処理していった方がいいと思うのですが、極限状態でグロッキーになる前に子の生存に直結しない項目はあきらめて外注なり使い捨てるなり、生活レベルを下げましょう。育児は永遠ではないので、そうまとまった出費になるわけではありません。そもそも料理が用意できなくて怒るような人はこのブログを読んでいないとは思いますが…

 ③母親に対してはプル型支援ではなく、プッシュ型支援を
 人に指示を出す(+指示した結果を確認・修正する)のは何なら自分でやるよりも体力・頭を使うので、本当に育児で疲弊してくると、もはや的確な指示を出すのが困難になります。ニーズを把握することは大事ですが、それ以前に、本来なされなければならないことを状況から判断し、自発的に対処するというのがとても重要だと思います(パートナーが疲弊する前に予防的なほど良い)。

 とはいえ、支援メニューとしては、主たる家事(自炊・洗い物・洗濯・物干し・回収・畳み・部屋の片付け)及び育児の基本動作(子をあやす・おむつを替える・ミルクを作って投与する・おでかけに連れ出す)ができれば十分だと思います。そのためにも、日頃からこうした基本動作を分担しておく必要があると思います。

 ④サブミッションを設定する
 上記では本当にヤバいときの話を書きましたが、他方、育児そのものは受動的な動作が多く、大人1人が子どもの傍にいる即応態勢を維持さえすれば、子からヘルプが出ていないときは何をやっても構わないので、かなりの「待ち時間」が生じます。逆に、1日のうち長い時間を室内で過ごすことになるため、子どもが何もしていないときに何らかの方法で時間を潰さないと、それはそれで息苦しい暮らしになってしまいます

 もちろん、動画やゲームといった室内系娯楽で時間を埋めてもいいのですが、まっとうに働いていた人(ニート適性の低い人)にとってはこれがまた虚無の心を助長させることになります。そこで、資格の勉強を始めとした育休中のサブミッションを設定することで、子どもの成長とともに大人も圧倒的成長することができます。

 私の場合、前半2か月は趣味の基礎データをひたすら収集して整理することをしており、後半1か月では妻が勉強しようとして家にあった簿記2級のテキストを使って、育休最終週に無事合格しました。

 なお、子どもがいつ泣くかわからず即応態勢を維持しなければならない関係上、知識のインプットにまとまった時間が必要な勉強・作業は難しく、問題を解きまくるようなワーク系・アウトプット系の勉強・作業の方が容易だと感じました。

 ⑤定期的に気晴らしをする(それぞれが子どもから離れる時間を作る)
 子どもといえども人間で、そういった他の人間と24時間狭い室内でずっと一緒にいると、どれだけ可愛い存在だとしてもどうしてもストレスがかかってきてしまいます

 父親は割とフラっと外に出られますが、母親は母としての使命感もあってこうした状況に陥りやすいので、父親が子を連れ出すなど、なるべくそれぞれが一人になれる時間を設けるというのが大事だと思います。

 なお、気晴らしとして優秀なのは、旧来からの友人と会う、映画を見る、育児と全然関係ないものを買いまわるあたりでした。これはそれまでの暮らしによると思います。

⑥子どもは泣くものだと思い込む
 なにをしてもなかなか泣き止まなかったとき、とにかく無力感があり、どうにもならない気持ちになってしまいますが、子どもが泣いていたとしても、それを無理に泣き止ませようとしない(泣いている状態をなんとかできないことに罪悪感を感じない)ということがとてもとても大事です。そうでなければ、子どもに強制力を行使して泣き止ませるような方向に向かってしまいますから。

中野区で保活をする話(余談)

保活その1・その2の記事で書ききれなかった余談(チラシの裏)をつらつらとまとめています。

区立園・元区立園の立地について

 せっかく手元にデータがあるので、区立園・元区立園=駅から遠い説を検証してみました。下図の赤丸が区立園、緑丸が元区立園ですが、沼袋保育園(沼袋)や中野保育園(中野新橋)、あけぼの保育園(新井薬師前)、令和6年3月で移転する陽だまりの丘保育園分園(東中野)を除くと駅からまあまあの距離にあることがわかります。

区立園・元区立園の配置

区立園・元区立園の利用調整の下限点数について

 こちらも、底点が低下した2023年度のデータで調べると、0歳児クラスの募集がある区立園・元区立園31園のうち、38%にあたる12園が42点となっていました。
 一方、その他民営園46園のうち、21%にあたる10園が42点となっていたため、区立園並みの敷地をもっているかどうかは人気倍率の有意な差に繋がっていると思われます。

幼保一元化について

 文科省所掌の幼稚園と厚労省所掌の保育園の一元化を目指して「こども園」制度ができましたが、少なくとも中野区内では一元化は進んでいないです。これに限っては完全に政府施策が中途半端であることが主因じゃないでしょうか。今後全産業において人手不足が深刻化するのですから、許認可権限にこだわってないで、将来的には保育士・幼稚園教諭資格の統合(通常の資格にありがちな1級・2級等の二段階化でも良い)も見据えて保育・幼児教育リソースを一元的に管理・運用すべきだと思います。

保育料の計算と就労意欲について

 4月入園と仮定すると、4月からの保育料の算定基準は前年7月から翌6月までの世帯単位での住民税の課税額 = 一昨年の両親の所得(就労状況)に応じた金額となります。

 このため、産休・育休によって世帯年収は減少しているにもかかわらず、減少前の所得に応じた保育料が4か月間はかかる他、育休中は社会保険料等が免除となり、育休給付金も非課税であるため、我が家のケースでは、保育園を利用して時短勤務等で復職するのと育休を続けるのでは、最初のうちは手取りがほとんど変わらないという計算結果になりました。

 保育料や育休給付金が育休前のフルタイム勤務時代の所得を参照しているために発生する制度のバグのような結果ですが、実際のところは、より価値観ベースで仕事がしたいか子どもを育てたいかという選択を(経済的な損得に拠らず)ニュートラルに判断させてくれるような制度になっているのではないでしょうか。

 最も経済的なのは、1年半ほど育児をした後、保育料の算定が更新される9月から1歳児クラスに入園させることですが、(その1)の記事で書いたように年度途中での入園は厳しく、現実には0歳児クラスに預けるか、育休をギリギリまで延長するかという極端な2択となります

定員の偏在/隠れ待機児童について

 (その2)の記事で書いたように、都市部においては自宅からあまりに離れた保育園に通わせるのが困難ですから、保育園の需要と供給は地理的になるべく一致している必要があります。しかし、実際には特定の地域においてマンションが一気に建設される等で需給が歪むようなことが多々あり、市区町村内で定員と入園希望者数が均衡したとしても、空間的に需給が偏っていたら待機児童が発生することになります。このことは月齢別の定員の設定にもいえます。都市部で新たに保育園を開設できる場所は限られていることから、保育サービスをうまく需要に合わせて供給できないのは、需要側の要求の細かさ及び増減の速さに供給側が対応できないことに主因があると考えています。これはひとつひとつの事業者がどうこうできる話ではなく、都市計画レベルの問題ですが。

 また、保育園に入りづらいからこそ育休を延長している人や、就労を制限している人、つまるところ潜在的な利用者層はかなりいると考えられ、ある意味では供給すればするほど需要が追い付いてくるような気もしており、保育園の適正な供給量というものを事前に設定することが困難なのではないでしょうか。結果的に全員が多数の園を書かなくても希望している園に入れ、いつでも転園したりできるという状態になって初めて十分な供給量といえると思います。

保活にガチる場合のテクニック

 早生まれ等で0歳児クラスに入れないけど、1歳児クラス4月募集になんとしてでも受かる必要がある、という人はフルタイム共働き勤務による基礎点の42点からさらに上乗せする必要があります。

 都内の保活の文脈でしばしば語られるのは、認可外の保育園を一時的に利用することで保育の必要性をアピールするということで、中野区の利用調整上では3か月以上預けてつつ仕事に復帰することを条件として1点、6か月以上預けながら仕事に復帰することを条件として2点が加算されます。

 中野区内の保育園の1歳児クラス4月募集の2023年実績を見ると、ほぼ42点で揃っていますが、稀に43点や44点の保育園があり、こうしたところはひとり親による加算あるいはこうした努力によって底上げされた人しか入れないということになり、いまだ残る保活戦争の苛烈さを垣間見ることができます。

保育士の待遇改善について

 保育士の待遇改善を進める必要があるという総論には同意しますが、そもそも家庭での保育を前提としてそれを外部化している背景上、あまりにも子ども一人当たりに付く大人の数が少ないと、実際問題として保育園に預けることで外で働けるようになる大人の数と保育園で働いている大人の数の差し引きが0に近くなり、労働力を確保する名目で公的予算を投入する必要性が薄れてしまうという問題を抱えています。

 また、保育にかかる費用を厚くすればするほど、そのコストは保育料と現役世代が中心に負担する税や保険料から賄われている都合上、さらに現役世代の経済的困窮・ひいては少子化が進むというジレンマもあります。

 こうしたことから、(子ども一人当たりの)保育に係る経費を増やせば増やすほど、結果的に保育を利用できる人間が減少してしまうという難しい状態に陥ります。

 育児を外部化するだけでも保育園整備費など追加的な経費がかかるわけですから、育児中の給付保障を拡充し(それまでの稼ぎの額に関わらず定額保障する等)、その枠内でなるべく自助・共助で育児をしてもらい、それ以上に稼ぎたい親がいれば保育水準も保育士の待遇も高い保育園を利用するというような仕組みとなった方がお互いに良いのかもしれません。既存園のスクビルを伴うのと所得・生活費用の地域差もあるので制度設計がかなり困難だとは思いますが…