子育て総力戦研究所

父親から見た23区近郊車なし子育て

出産直後までにできる準備について

この記事の要旨

 育児は両親の体力・精神・経済力のみならず、生活様式や思想、それまでの経験、勤務先の福利厚生、部外協力者等も試される終わりのない「総力戦」となることから、なるべく合理性と効率性、経済性に則りながらこれを遂行する必要があります。

 この記事では、その参考として、出産までに準備・調達するものについて、生後2週間の乳児の親(父)(里帰りなし)が記憶が確かなうちに振り返っています。

 ※前提条件:東京都中野区で3人暮らし(R5.6に第一子誕生)、車なし、共働き(出生後3カ月までは両方とも育休)

①家について

 最も重要かつ容易に変えづらい子育ての現場となる「家」。

 我が家はもともと2人で約40㎡の1DKと手狭な賃貸に住んでいたため、妊娠5か月目に近くのより広い物件に引っ越しました。
 新居は約50㎡の1LDKですが、出産後は以下のように使い分けています。
 ・LDK→キッチン・食卓・ベビーベッド・大人用ベッド(1人用)
 ・寝室→大人用ベッド(1人用)、電気乾燥機、物置

 基本的には、日中はLDKで生活し、新生児のお世話夜間は寝室で母が休息し、父が寝ながら夜間対応。このほか仮眠等も寝室で適宜実施。
 この態勢については、新生児は2~3時間おきに授乳が必要ですが、その前兆として泣き出すことも多いため、産褥期の母親を別室に隔離しておかないと、都度気になってしまいまともに休息が取れず共倒れとなる事態を避けるためのものです。
 また、父については夜間の授乳(ミルクで対応)やおむつ換えを行うため、断続的な睡眠しか取れず、少なくとも日中にこれまでどおり生活することは困難なため、午前や夕方に仮眠を取っています。
 ベビーベッドを寝室に置く考えもあるとは思いますが、ミルクをキッチンで作り、哺乳瓶を洗ったりする一連の動作を新生児と同室で行うことで効率化を図るとともに、子育てシフトと休息シフトの分離を徹底しています。

 家の広さについて、私物の量にもよりますが、最低45㎡程度かつしっかりした扉で区切られた部屋があるのが望ましいと思います。また妊婦の出入りや後々のベビーカーの出入り等を考えるとエレベーターは必須に近いかと思われます。そのほか、少なくとも新生児が生活する部屋の空調は必須です。
 また、家とは直接関係ないですが、育児中は在宅する時間が長くなるため、しっかりしたビジネスチェア(中古だと4~5万程度)を準備すると、日中の疲労が溜まりづらくなります。

②物資調達について

 妊娠発覚後、新生児を家に迎えるまでに調達するものとしては、以下の3つに分類されると思います。
 1 妊婦期に必要となるもの
 2 母の入院生活・退院時に必要となるもの
 3 その後、当面の間の育児に必要となるもの

 1については服や下着のため母が調達の主役となること、2については産院からお知らせがありそれに従うことになると思いますので割愛し、3について検討します。

 ・ベビーベッド関連
 →ベビーベッド及びそこに敷くマットレス(ベビー布団)、シーツ防水キルトマットを調達しました。
 →ベビーベッドについてはいずれ不要となった際に処分が面倒なため、6カ月1万3千円でレンタルし、他は買いました。ベビーベッドのサイズには何段階かあり、一番大きいものは120cm×60cm程度とかなりかさばるため部屋内での配置に目途をつけてから調達しましょう。一番大きいものは出生直後は持て余し気味ですが、狭すぎるとおむつ替え等の作業スペースが足らずストレスが溜まるため、置けるのであれば大きいものがいいと思います。また、育児中は前かがみになる機会が多いため、少しでも首や腰への負荷を減らすためにハイタイプのベビーベッドが良いと思います。シーツ以下については通販でセットになっているものを購入。シーツはよく洗うので、替えがあってもいいですが、大人用のシーツを折って使うこともできます。
 (→7/8追記:夏場は、防水マットを敷くと湿気や熱がこもり、新生児に不快な環境となることから敷かない方がいいようです。シーツ直敷きもあれなので、マットレスとシーツのあいだに大き目のバスタオルを挟んでいます。今後、盛夏に向けて冷感シーツなどがあったほうがいいかなと思っています。)

 ・衣服(コンビ肌着・短肌着・ベビー服)
 →生まれる時期が夏か冬かで必要数は変わると思いますが、夏生まれのためコンビ肌着を5着程度準備して着回しています。短肌着も買いましたがコンビ肌着で代替が効くものでした。この他、手足が冷たかったため靴下・手袋(ミトン)も買いましたが、手袋は外れると危険のため、まだ使用していません。ベビー服については退院時に着せようと思って1着買いましたが、身体が小さかったため使用しませんでした。なお、着せ替えの際、乳児がバタついている中で急いで着せる場面が想定されるので、紐で留めるものよりはスナップボタンで留めるものの方が都合が良いと思いました。

 ・授乳関連(ベビーミルク・哺乳瓶関連用品・搾乳器)
 →これらは退院直後からフル稼働します(当初から完全母乳が可能な場合を除く)。
 →ベビーミルクはいろいろありますが、産院でオススメされた「E赤ちゃん」を使っています。おむつと並んで最も消費が激しいため(1日100g程度)、近所のドラッグストア等の品ぞろえを見て、調達しやすく安価なものを買った方がいいかもしれません。
 →哺乳瓶については、授乳頻度にもよりますが、1日約12回ほど授乳する我が家では、4本準備して十分回せています。(哺乳瓶の殺菌を3本単位で行うため、3本使用後にまとめて殺菌+殺菌中に1本予備)
 →哺乳瓶については、容易に手に入るのはピジョンの純正品と安価なSmartAngel(西松屋ブランド)の2巨頭ですが、乳首についてはピジョンの方が硬いため、母乳吸いの練習も考えてSmarAngelの通常瓶にピジョンのスリムタイム乳首(「母乳実感」)を付けて運用しています。他の方のブログを読むと、ピジョンの「病産院用哺乳びん」が安くて品質が良いようですが、一般市販品と異なりメーカー間の乳首の互換性がなく、市中で売っていないため、入院中の使用状況を見て購入してもよいのではないでしょうか。
 →使用済みの哺乳瓶については、その都度通常の食器洗剤に百均で購入した瓶用スポンジで洗浄し、知人から譲り受けた「コンビ」の電子レンジ殺菌容器(除菌じょーず)で殺菌しています。
 →このほか、新生児が母乳をうまく吸い出せない状態が退院後も続いたため、ピジョンの人力搾乳機を後から調達し、搾乳・冷蔵した母乳を湯煎して授乳しています。
 (7/9 追記)搾乳機については、新生児が飲むようになってからも、乳房の張りの防止のために寝る前に使用しています。

 ・沐浴関連
 →ベビーバスについては空気で膨らませるタイプ(西松屋)のものを会社の人から譲り受けて使っています。このほか、ポンプ式のベビーソープ・ベビーローション(保湿用)、バスタオルサイズのガーゼタオル3枚、ガーゼハンカチ5枚をそれぞれ事前調達しました。(ソープやローションは産院によっては試供品を山ほどくれるので、それを使いながら見ていった方がいいと思います。)
 →また、かけ湯用の桶は百均で調達しました。
 →体温計については、非接触型のものをヨドバシカメラで調達しました。※ドラッグストア等と比べても安かったため。

 ・おむつ関連
 →おむつはパンパースのさらさらケア(76枚入り)を近所のドラッグストアで買っています。最初のうちは勝手がわからないこともあり3~4日で1パック使い切っています。
 →また、おしりふきは通販で箱で買いましたが、試供品もあったので、最初の数日は持ちました。おしりふきの消費量は意外と控えめなイメージ(2日で1袋等)ですが、おむつ替えの時以外にもガンガン使っていくため、やはり通販で箱買いしたほうがいいと思っています。
 →使ったおむつについては、ベビーベッドの柵に大人用のおむつゴミ袋を吊って、そこに入れて、7~8枚まとめて捨てています。大人用なのは近所のドラッグストアで売っていたからですが、正直機能は変わらないので、なんでもいいかと思います。

 ・その他
 →ベビー用爪切りベビー用綿棒については最初からあった方がいいと思います。赤ん坊の爪は退院後すぐに伸びてきて、切る必要が生じました。綿棒は鼻の出口が詰まった際や耳かきなどに使用しています。
 →授乳クッション(三日月状のもの)と円座クッション(ドーナツ状のもの)は、座り心地や肌触りもあるため、入院前にベビー用品店やホームセンターで直接確認して調達しました。
 →このほか、母体回復のため骨盤ベルトや、タオルワンピース(風呂上がりに羽織れるタオル)等を調達しています。
 (→7/8追記 新生児を抱く回数が増えたため、腱鞘炎対策としてよくドラッグストアで売っている手首のサポーターを追加調達しました。)
 (→7/9追記 鼻がよく詰まるため、ベビー用ピンセットを追加調達しました。)

 なお、これまでに何度も出てきているとおり近所(徒歩圏内)のドラッグストアで調達するものも出てくるため、各店舗のベビー用品の棚を記録し、家族で共有しておくと便利です。現地で買うよりも通販で箱買いした方がコスパはいいですが、使い続けることで弊害が出てくるものや、肌に合わないものもあるため、あまりにも箱買いするのはリスクがあると感じています。また、実際にどのような品が市中で流通しているかを把握することで、通販で買うときのおおまかな相場観がわかると思います。

 ちなみに、家の近くで調達できたのは、ベビーミルク、ベビーソープ、ベビーローション、スポンジ、桶、おむつ、おしりふき、爪切り、綿棒、サポーター、ピンセットぐらいで、その他のものは荻窪タウンセブン西松屋西友やネット通販、妊娠期のおでかけで郊外(和光市や仙川)に行ったついでに現地のショッピングセンターで調達しています。近所で調達できるものは退院してから調達しても良いですが、ベッドやベビーバス、クッション等の大物については、事前にどれを調達するか意思統一をしておき、入院までに調達する/調達の目途を立てるべきだと思います。

③夫側の能力構築と家事ルーチンの見直しについて

 出産直後は妻が交通事故(全治2か月)に遭ったような状態となり、家事もままならなくなります。そうでなくても慣れない育児で消耗することから、2人とも家事をまともにこなす余力が残っていないことが多いです。
 そのため、まず、妊娠中から妻が行っていた家事を一通り夫もこなせるようになる(口頭伝授ではなく実際に能力を実証してみる)べきです。
 家事のほとんどは中心となる作業のほかに、付帯する作業や必要となる予備知識もあり、一連の流れについて確認し、いつでも代替わりできるようになっておくことが望ましいと思われます。
 そのうえで、どの作業がしんどいのか、外部委託や機械化・合理化できるのかについて事前に夫婦間で合意形成をしましょう。

 我が家では、もとより自動掃除機の活用を行っていましたが、さらに①電気乾燥機の導入②宅食の活用を行い、家事の総負担を減少させています。これらの選択肢については別の記事を書こうと思います。

④部外力の活用について

 部外協力者ー具体的には祖父母をはじめとする親族ーですが、育児に対する関与の意思・能力について事前に確認すべきです。
 育児そのものを父母2人では物理的に乗り切れたとしても、育児以外のすべてが犠牲となる中で精神的に追い詰められることが多々あると思われ、定期的に部外の方に来訪して話だけでもしていってもらうことが心の健康、ひいては持続的な育児のために重要です。
 ただ、祖父母の代が育児をした時代から数十年が経過し、育児方法の主流が変わってきている部分もあり、関与が強まるほど摩擦が発生する可能性も高まります。出産前までの日々の付き合いにおける考え方・価値観の相違や、それをすり合わせられたか等を鑑みながら関与してもらうのがいいと思います。

 また、近年は行政による補助事業も充実しており、サービス水準に対して比較的安価となっているため、こういったものは最大限活用していくべきです。プレママ・プレパパ講座等があればぜひ参加して、心の準備をしておきましょう。